8話 完璧な男

「ねえ、今の仕事って何してるの?」

「経理の仕事、派遣で行ってる。」

「週5?」

「月5。」

「月?」

「うん扶養控除内だから。」

「なるほど、そういうことね。」

「うん、その代わり月5日間は
がっつりフルタイムで行ってるの。

そのほうが自由な日多くなるし。」

「そっか。その方がいいね。じゃあ月100万?」

「年100万だよ。」

「あ、そっか。年だね。」

「月100万貰ってたら私も外車に乗って

将生のこと迎えに行くよ。笑」

「俺も月100は欲しいなあ。」

「でも理系だから
結構給料いい方なんじゃないの?」

「うん、まあ普通よりはね。」

「奥さんフルタイムだっけ?」

「扶養。」

「あ、そうなんだ。じゃあお小遣い制?」

「誰が?」

「将生がお小遣いもらってるの?」

「逆。俺が渡してる。」

「そうなんだ。将生が管理してるんだね。」

「そう。俺が家賃とか光熱費とか諸々払って

月25万渡してる。」

「ええ〜!そんなに?!」

「うん。
それでも時々足りないって言ってくる。」

「え?何に使ってるんだろ?

お子さんの塾代とか教育費かなあ?」

「それはこっちで引き落としてる。」

「じゃあ食費だけ?」

「うん。」

「じゃあ貯金してくれてるんじゃない?」

「そういうの全然できない人なの。

あればあるだけ使っちゃうタイプ。

だから足りないからって追加要求される。」

「えー!25万もらってるのに足りなくなるの?

そっか。。。いいなあ。。。」

「やっぱ渡しすぎなのかなあ。。。

もっと少なくてもいいのか。。。」

「いや、余計なこと言ったかも。

ごめんなさい。

何に使ってるかは人それぞれだからさ。

奥さん、綺麗な人だからお化粧品代とか

美容代に結構使ってるんじゃないかな?」

「そうかなあ。。。
俺も貯金全然できなくてさ。」

「そりゃ月25万も渡してたら難しいね。

私それで一人暮らしできるよ。笑」

彼の給料が夫よりはるかに高いことを確信した。

(だからこんな外車も乗れるし、

さっきもスイートルームにしようとするし、

コスプレもなんの躊躇もなく捨てて帰るし、

会うたびにお茶買って待っててくれるんだ。)

彼のスマートな言動に高収入の裏付けが

とれたことでさちこは安心した。

しかし月25万円も妻に小遣いを渡せる彼が

レーシック手術に金額のことで

二の足を踏んでいることが少し不憫に思えた。

そうこう話しているうちに家の近所まで来た。

「あ、もう着いちゃったね。

今日も楽しかったし気持ちよかった。

ありがとう。」

「うん、楽しかった。ありがとう。」

さちこがシートベルトを外し、彼を見ると

彼はさちこに口づけをした。

「いててて、シートベルトが。。。」

シートベルトで思うように助手席にまで

近づけないながらもキスしてくれたことが

嬉しかった。

「じゃあまた。」

「うん、またね。」

さちこは後部座席に置いたバッグをとって

車を降りて助手席のドアを閉めた。

彼が助手席の窓を開けて顔を覗かせた。

「気をつけてね。」

「うん、ありがとう。将生もね。」

さちこは手を振りながら彼が車を出すのを

見送った。

家に帰る途中、出掛ける時に着信した

元彼からのラインを開いた。

「さっちゃん元気?仕事が激務で。」

彼はいつもさちこが他の男と会っている日に

ラインしてくる。

(相変わらずすごいタイミングだな。

私のライン覗かれてるのかな。笑)

「元気だよ〜。

お忙しいところ連絡ありがとう。

体調崩さないように気をつけてね〜。」

当たり障りのない返信をしたがその日は

既読がつかなかった。

帰宅して本日三度目の風呂に浸かった。

今日わずか3時間の間に

彼といろんな話をしたことを思い出していた。

会うたびに彼が
プライベートな話もするようになって

お互いの心の距離が近くなっていることを

しみじみと噛み締めていた。

身体の相性だけでなく、

10歳も年下である彼と普通に話が弾むのは

彼の魂年齢が
さちこより年上だからかもしれないと思った。

彼の内面は外見の良さを裏切らなかった。

彼の内面を少しずつ知るようになり、

外見だけでなく、

内面も尊敬できるところがたくさんあると思った。

さちこはそんな素敵な彼に出会えたことに

仲良くなれたことに感謝していた。

今日の彼はイクことを途中で断念したが

執着のない彼はイケなかったことに

クヨクヨすることはなかった。

それもさちこが彼を立派だと思うところであった。

そしてさちこは間違いなく
心も身体も満たされいた。

ベッドに入り、素晴らしい姫初めができたことに

感謝して眠りについた。

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