2話 ドンキでエッチなお買い物
「あ、あけましておめでとう。」
「あ、おめでとう。今年もよろしくね。」
「うん、よろしくね。元気だった?」
「うん。」
「お正月初詣行った?」
「うん。行った。行った?」
「うん。」
「おみくじ大吉だった。」
「私も大吉だった。私たちもってるよね〜。笑」
「そだね。笑」
「ラッキーな二人だね。笑」
「うん。笑」
「今日はさ、
黒のパンスト履いて欲しいなって思って。」
「そうなんだ。笑 好きなの?」
「うん。30デニール。」
「出た!30デニールね。笑」
(それ、私が今投稿サイトで
やりとりしているフォロワーが
30デニール大好物って言ってて、
めっちゃタイムリー。笑
もしや彼、
あの人のブログ記事読んでるのかしら。笑)
「30デニールがどれくらいの透け具合か
よくわからんけどいいよ。」
「会社の子が履いててさ、いいなあって思って。」
「そうなんだ。
会社にそんなエロいの履いてくる子いるんだ。
誘われてんじゃないの?笑」
「いや、その子社内に付き合ってる男いるし。」
「へえ公認なんだ。」
「うん。」
「社内恋愛って別れた時気まずくなるから
普通隠すのにね。笑」
「そうだよね。別れたらどうすんだろって思う。」
「だから社内恋愛はしない方がいいよね〜。」
「うん。」
「若い子?」
「うん、20代。
若いから興味ないけど
パンストはいいなと思って。笑」
「黒のパンスト禁止って職場結構あるけどね。」
「そうなの?」
「うん、私、昔働いてたところは就業規則に
書いてたよ。黒はダメって。
エロいからじゃない?」
「へえ。」
「だって黒のパンストってお葬式の時か
AVの人しか履かないでしょ?笑」
「そう?」
「誘ってると思われるもん。笑
私はお葬式の時ぐらいしか履かない。
葬式は真っ黒のタイツではダメらしいから。」
「ふーん。
これからドンキ寄って買ってから
こないだのホテルに行こうと思うんだけど
そのプランでいいですか?笑」
彼がちゃんとデートプランを考えてくれてたことも
少し照れながら自分の好みを伝えてくれたことも
嬉しかったし、彼が愛らしく思えた。
「うん、いいよ。この辺にドンキあるの?」
「知らないけどあるみたい。」
「へえ。」
「行ったことない?」
「こっちに住んでドンキ行ったことはない。」
量販店のドンキホーテに着いた。
「コートいらないかな。」
「大丈夫だよ。」
車を降りて
駐車場からエレベーターに向かいながら
さちこはポケットに入れてたマスクを
取り出そうと少しまごついていると
彼は左手を少しぶらぶらさせて
さちこの右手を待っているのがわかった。
さちこがやっとマスクをつけ終わり、
彼に右手を差し出すと
彼はぎゅっとさちこの手を握りしめた。
何度されてもいつどこでされても
胸がキュンとなる瞬間であった。

店内に入ると相変わらず所狭しと
ありとあらゆるジャンルの商品が並んでいた。
「ドンキ来るの久々だわ。よく来るの?」
「俺も久々。近所にないし。」
「じゃあ昔はよくパンスト買いに来てたんだ?笑」
「そういや昔はよく買いに来てたな
って思い出して。笑」
「独身時代?奥さんと?」
「奥さんとはそういうプレイしたことない。」
「そうなんだ。」
「そういう話もしたことない。」
「ふーん。
確かに夫婦だとそういう話しにくいよね。」
「この辺かなあ?」
「そうだね。」
「30デニールはないね。40しかないね。」
「うん。。。」
「あ、これ20だって。これでいいんじゃない?」
「うん。じゃあこれにしよう。」
「あ、待って。サイズ。。。
あったMサイズ。はい。」
さちこはLサイズの後ろに隠れているMサイズの
20デニールの黒のパンストを取り出して
彼に渡した。
「あとコスプレする?」
「うん。」
コスプレの売り場に行った。
「すごい色々あるんだね。
ドンキにこんなやらしい売り場があったなんて
知らなかった。笑 だから人気なんだね。」
「どれにする?」
「うーん、ポリスは?」
「いいねえ。」
「将生のして欲しいのでいいよ。」
「花魁風のと幼稚園児のはムラムラしない。」
「オッケー。じゃあこのメイド服は?」
「うん好きだよ。」
「タイトスカートじゃないけど大丈夫?」
「うん。」
「じゃあこれ着てみたい。」
「いいよ。似合いそう。」
メイドのコスプレ衣装を手に取って
彼に差し出し、レジに向かって歩き出した。
「ゴムは買わなくていいの?」
「ホテルにあるでしょ。」
「キツくないの?将生大きいから。」
「大丈夫。」
「ふーん。」
レジの前に少し買い物客の列ができていた。
「なんかそれ持って並ぶの恥ずかしいね。笑」
「うん。」
「そういや男のコスプレって売ってないね。」
「うん、あんまり見ないね。」
「需要がないから供給してないのかなあ。
専門のところに行けば売ってるんだろうけど。」
「して欲しい格好あるの?
言われたら全然するよ。」
「いや、別にない。笑」
会計を済ませてエレベーターに乗った。
「何階だっけ?」
「あ、見てなかった。」
「多分4階だよ。」
「えーもっと長く乗ってた気がするから
6階じゃない?」
「とりあえず4階で降りてみよう。」
「うん。」
4階の駐車場に行くと彼の車があった。

「ほら、あった。」
「さすがだねえ。」
「それぐらいは覚えとかないとね。」
「すごいね。さすがだわ。」
さちこは彼の注意力、記憶力、勘の良さ、
どれによって導いてくれたかはわからなかったが
とにかくそういうところもスマートに見えて
彼に惚れ惚れしていた。
しばらくするとホテルが見えてきた。
「なんかこの景色見ると前に将生が
気持ちよくなり過ぎて高速の降り口間違えて
Uターンした時のこと思い出すわ。笑」
「あれはやばかったね。笑」
駐車場に車を停めてホテルの中に入った。