1話 姫初めのお誘い
年末にした彼との車内セックスが気持ち良すぎて
さちこは余韻に浸りながら年を越した。
年が明けて「おめでとう」ラインはしたものの
2週間ほど経ち、そろそろ姫初めに誘おうかと
さちこからラインした。
年末のデートの感触から
彼がもうさちこの誘いを拒否することはないと
確信していたからそこに駆け引きは必要ないと
判断した。
ただ彼が返信しやすい時間帯は考えた。
彼が仕事が終えて車で帰宅する時間帯を狙って
ラインした。

「将生、こんばんは〜
来週か再来週ご都合いかがですか?」
「予定確認して連絡するね。」
「了解です。ありがとう。」
その晩、日付の変わる0時前に返信がきた。
「来週の水曜にしようか。何プレイにする?」
「水曜オッケー。コスプレでってこと?
この前ちゃんとなりきれなかったから
今度は本気でやってみたいな。」
「何になりきるの?
コスプレじゃなくても
やりたいプレイあればやってみよう。」
「体操着着てみたい。キツいかなあ?!
コスプレ以外だと将生は青姦嫌なんでしょ?!
何かしたいプレイある?!
プレイっていうとSMとか赤ちゃんとか3Pとか
縛るのとかしか思いつかないんだけど。笑
他にやってみたいのある?!
将生とはめっちゃ相性いいから
私はノーマルでも大満足だよ。
将生がしたいプレイあったら言ってね。」
「体操着はあまり燃えないかな。
制服のが好きかな。
青姦は好きだよ。
考えとくね。
相性いいよね。そう思う。」
「そっかタイトスカート好きなんだもんね。
制服もいいね。
青姦好きなの?!
この前テラスでしたくなさそうだったから。笑
じゃあ青姦はもう少し暖かくなったらしようね。
うん楽しみにしてる。
いっぱいチューしようね。」
それから返信はなくデート当日の朝を迎えた。
「将生、おはよう。
今日はよろしくお願いします。
到着時間わかったら連絡ちょうだいね〜。」
さちこはその後一人で近所に映画を観に行った。
「とりあえず予定は
18時にコンビニでお願いします。」
映画が終わってスマホの電源を入れると
彼は仕事の休憩時間に返信を送ってくれていた。
「了解です。いつもありがとう。」
家に帰って風呂に入って身支度を整えた。
前回時間がなくて
せっかく前日に買ったマニキュアを塗って
デートに行けなかったから
今日こそはと手と足の指に塗って乾かしていた。
17時半を過ぎると彼からラインがきた。
「渋滞してなければ予定通り18時に着だよ。」
「オッケー。」
ペディキュアが乾くのに
想定以上時間がかかっていた。
寒いから早くタイツを履きたかったが
我慢しながらよれた手の指のマニキュアを
塗り直した。
やっとペディキュアが乾ききったのを確認し
タイツを履けたかと思うと
さっき塗り直した手の指の1本のマニキュアが
またよれてしまったことに気づいた。
(もう塗り直してる時間はないな。
仕方ない。とりあえず服を着よう。)
もう家を出なければならない時間を過ぎていた。
(前回も遅刻したから今日は時間通り着きたい!)
家を出るときラインの着信音が鳴った。
彼かと思って、歩きながらスマホを見ると
元彼からだった。
とりあえず未読スルーして
ラインの通知を非表示に切り替えた。
そして待ち合わせ場所のコンビニまで少し走った。

駐車場に着くと
彼の車の隣の車のボンネットの前で
年配の女性2人が大きな声で立ち話をしていた。
その女性の視線を感じつつ
さちこは助手席側に回って窓を覗き込むと
彼がこちらに気づいた。
さちこは助手席のドアを開けて挨拶した。
「こんばんは〜。お待たせ〜。」
後部座席のドアを開けて
コートとマフラーとバッグを置いた。
「上に乗せて大丈夫?」
「うん。」
「失礼します。」
助手席に乗り込んだ。
「2分遅刻しちゃった。ごめんね。
ちょっと事件が起こってさ。笑」
「何事件って?」
「へへへ。」
「はい、これどうぞ。」
彼はコンビニで買っておいてくれた温かい緑茶を
さちこに差し出した。
「あ、また買っててくれたんだ。ありがとう。」
先に着いて
コンビニでお茶を買っていてくれたことも
嬉しかったのはもちろんのこと、
前回紅茶と緑茶を差し出されて
緑茶を選んだことも覚えていてくれたことも
嬉しかった。
立ち話をしている年配女性の視線が気になって、
車に乗ってすぐ挨拶のキスはできなかった。
彼が車を発進させた。