11話 8歳ではなく10歳年下だった男
次に彼はさちこの太ももを触りながら言った。
「このスカートも可愛いね。」
「ありがとう。今日は思ってたより寒くなかったから
頑張ってスカート履いてきたよ。」
「いいね。このスカート好き。」
「ありがとう。」
「さて、どうしよ。今からホテルに行くにしては
時間が中途半端だしね。」
「そうだね。」
「こないだのホテル良かったよね。」
「うん、すごい良かった。」
彼はしばらくカーナビの地図と睨めっこして
エンジンをかけた。
さちこは彼がどこに向かうのか聞かなかった。

「ねえ、将生って誕生日いつ?
6月って言ってたよね?」
「うん、8日。」
「84年?」
「ううん、86年。10こ上だっけ?」
「そだね。10こ上だったんだね。」
「全然見えない。若い。」
「良かった〜ありがとう。」
「うん、全然見えないよ。若いよ。」
今日の彼は饒舌でもあった。
「ねえ、将生って学生の時、塾行ってた?」
「うん。」
「じゃあそこで塾の子に告白とかされたでしょ?」
「うん、された。」
「やっぱりねえ。
ほんと絵に描いたようなモテ男だね。」
「そうかな。」
「ねえ、初めて付き合ったのは何歳?」
「小6だったかな。」
「えーおませさん!
でもそういう子クラスに一人はいたよね。」
「付き合うって何して遊ぶの?」
「何してって。。。何してたかなあ。。。」
「同級生?先生じゃないよね?」
「同級生。
その頃はまだ先生っていう発想はなかった。」
「まあ小学生で先生は犯罪になるもんね。笑」
「でもエッチなこととかは一切してないよ。」
「キスも?」
「うん。」
「じゃあ付き合うって何するの?手は繋ぐの?」
「うん、手は繋いでた。」
「で?キスは中学生?」
「中学生も彼女はいたけど何もしてない。
そんな性欲なかった。
エロ雑誌見てワーワーみんなで騒いでたレベル。」
「ふーん。じゃあ童貞はいつ捨てたの?」
「遅いよ。高一。」
「遅くないよ。笑」
「そう?笑」
「高校生ってどこでエッチするの?
ラブホテルに行くの?」
「家。」
「え!家って誰の?」
「自分の。」
「親に見つからないの?」
「うんまあ。」
「相手は同級生?」
「うん付き合った人みんな同級生。」
「相手も初めてだったの?」
「わかんないけど多分。」
「へえ。」
「でもその人は高校3年まで付き合ってたよ。」
「あー、初めての人だったから律儀だったんだ。」
「そう。その頃まではね。大学の時は遊んだね。」
「だろうね。笑」
「めっちゃ遊びまくってた。」
「へえ。それって本命がいるのに
ちょいちょい浮気してたってこと?」
「いや本命はいなかった。」
「なるほど〜。そういうことね。
それが今につながってるわけね。」
「そかな。笑」
「奥さんは?
学生時代に知り合ったって言ってなかったっけ?」
「うん、就職内定もらってそろそろ落ち着こうって
思った時に紹介してもらって付き合いだした。」
「じゃあさ、
今まで遊んでた人と奥さんは何が違ったわけ?
そんなに遊びまくってたのに
奥さんだけは結婚しようって思ったわけでしょ?
何かきっかけとか決め手があったの?」
「まあ就職内定もらったし、
もう落ち着こうってのもあったし、
顔がきれいな人だったし。性格は良くないけど。」
「あ、それか。顔で選んだのね。
でも顔がきれいな人は心もきれいだからね。」
「そうなの?」
「うん、私の持論。」
さちこの自宅の近所までやってくると
彼はコインパーキングに車を停めた。
「よし、ここに停めてちょっとイチャイチャしよう。」
「うん。」
「後部座席に移ろう。」
「うん。」
後部座席に置いていたコートやバッグを助手席に移して
座席を前にスライドさせた。