5話 2回目のデート
あの夢心地の日から
2週間後のデートの日が近づいてきた。
3日前に予定より早めの生理がきた。
(デートの日がガッツリ生理だなんて!
体調もすぐれないだろうし、匂いも気になるし、
来週に延期してもらったほうがいいかなあ。
いや、待てよ。
来週末に延期してもらえるとしても
子宮頸がんの検診を受けるから
どっちにしろセックスはできないではないか。。。)
ググって確認すると
やはり検診の後5日間は性交渉禁止と書いてあった。
デートを2週間先に延期するのは
いくらなんでも長すぎる。
彼はこの前も
<生理だったらドライブだけでもいいよ>
と神解答をしてくれたから、
今回も<いいよ>と言ってくれるに決まってる。
ただ体調がすぐれなくなった場合
ドタキャンする可能性も考えて、
とりあえず生理の報告だけはしておくことにした。
「将生、元気?体調良くなった?
昨日生理がきちゃったから、Aプランでもいい?」
「うん、Aプランにしよー。」
とにかくほっとした。
彼とのラインは業務連絡の時のみである。
2週間後の口約束を覚えてるのかも
少し不安だったからほっとした。
彼からの連絡は当日1時間前までこなかった。
「18:20くらいに着くと思う。」
とりあえず10分前になったので家を出た。
前回車から降ろしてもらった道沿いに来るのか?
最寄駅に来るのか?聞くのを忘れていた。
「着いたんだけど、
こないだのとこ覚えてるかなあ?
駅に向かったほうがいい?」
「ファミレスの周辺にいるよ。」
「オッケー。向かいます。」
駅の方に向かうと白いベンツが停まっていた。

窓ガラスを覗き込むと
彼が気づいてにっこり微笑んだ。
「お待たせ〜。久しぶり〜。」
シートベルトをしながら
当たり障りのない会話をして緊張を和らげた。
「今日はお仕事忙しかった?」
「うーん。まあまあかな。そうでもないかな。」
「そっか。ありがとね。」
彼は前回と違い、
こちらに身を寄せながら運転し始めた。
さちこは何も言わず
スッと彼の方に右手を差し出した。
彼はさちこの指に自分の指を絡めて握り返し、
ウィンカーを出す時以外
ずっとさちこと手を繋ぎながら運転していた。
さちこは彼の肩に頭をもたげたい衝動に
駆られていたが、
ベンツの車体幅ではやはり運転席は遠かった。
彼は車線変更して高速道路に侵入した。
「今日はどこに連れってくれるの?」
「台場にしようと思うんだけど、どう?」
「うん、いいね!お台場行ってみたい!」
「行ったことないの?」
「19歳くらいの時行ったことあるけど。。。笑」
(まずい、
8歳年下には言うべきじゃなかったか。。。)
「結構前だね。」
「うん。笑」
(四半世紀前と言わなくてとりあえずよかった。)
「だいぶ変わってると思うから
一度行ってみたかったの。」
「変わってるかなあ?」
「将生はよく行くの?」
「うん、まあ時々ね。」
「何しに行くの?」
「買い物とか。」
「へー。買い物好きなの?
そんなイメージなかったけど。」
「俺はしないけど。。。」
「あー(奥様の)付き添いね。」
「うん。」
「デートとかでは行かないの?」
「さっちゃんがいなかったら行く人いないよ。」
「そうなの?この2週間は何してたの?」
「うーん。特に変わりない。笑」
「よかったこととか楽しかったこととかないの?」
「うーん。。。ない。さっちゃんはあるの?」
「うん。来月からのバイト決まったことかな。
将生は普段家で何やってるの?」
「書斎があるからそこでYouTube観たり、
本読んだり、仕事のこと考えたりしてるかな。」
「ふーん。書斎は鍵はかかるの?」
「うん。鍵はかけれるけどかけたことない。」
「そーなの?
突然ドア開けられたりしたら嫌じゃない?」
「ガラス張りだから丸見えなの。」
「そーなんだ。
じゃあ鍵かけても意味ないね。笑」
「そー。中で何やってるかわかるしね。
エッチな動画は観れないよ。」
「そーなんだ。
てっきりそういうの観てるのかと思ったわ。笑」
「そういうのはスマホで観るの。」
「ふーん。どういうのが好みなの?」
「どういうのって。。。?」
「例えば好きな女優さんがいてとか
巨乳とか人妻とか少女とか色々あるじゃん?」
「女優さんより素人がいい。」
「そーなんだ。」
「人妻とか熟女モノが好き。」
「ふーん。やっぱりね。」
「あと裸よりは服着てる方が好きかな。」
「あー着衣のがいいよね。
やらしさが増すよね。」
彼はそう言いながら手を繋いだまま
スカートの上に置いていたさちこの手の甲越しに
さちこの太ももを少しさすり始めていた。
「スカート短いの履かないの?」
「今世の中的に長いの流行ってるじゃん?」
「うん。」
「私も脚の形が綺麗だからさ、笑
短いの探してるんだけど、これが精一杯で、
あんまりミニでもこの歳で履けないし、
なかなか膝丈が売ってなくて困ってるの。」
「そーなんだ。」
「短いの好きなの?」
「うん。」
彼はこっちを見てにっこり笑う。
「さっちゃんの太ももが見たい。」
彼はさちこのスカートを遠慮がちに
膝が見える位置までめくった。
「太ももが好き。」
彼はとうとうさちこの手を離して
太ももの間に手を滑り込ませた。
さちこは嫌がる素振りを見せず彼の侵入を許した。
「将生ってオナニーするの?」
「するよ。」
「どれぐらいの頻度でするの?」
「少なくとも3日に1回はする。」
「そんなにするんだ。
言ってた通りほんとに性欲強いんだね。」
「うん。性欲強い方だよ。」
(イケメンで性欲も強い!
どこをとっても完璧な私好みではないか!)
「でもどこでするの?
奥さんと一緒に寝てるって言ってなかった?」
「うん。寝る前に書斎でする。」
「ふーん。
で終わった後、
奥さんと一緒のベッドで寝るんでしょ?
変わってるね。笑」
「一緒のベッドっていうか、
子供と3台ベッド置いてるから。」
「あーじゃあ川の字で寝てるってこと?」
「うん。」
「なるほどね。
じゃあレスになるのは理解できる。
っていうかいつからしてないの?
子供できてから?」
「うん。」
「やっぱそうなんだね〜。」
「2回断られたからもう俺からは誘わない。」
「そーなんだ。
断られたらやっぱショックだもんね。」
(こんなイケメンでも断る妻がいるのか。
もったいない。ありがたや。)
「3人以上としたことあるの?」
「ある。」
「え!あるの?最高何人としたの?」
「3人。」
「それは女2人男1人?」
「うん。」
「どうだった?楽しかった?」
「難しかった。」
「だろうね。」
「どっちかに偏っちゃうから
気を使わないとだめだし疲れた。
やっぱ1対1がいい。」
「そーだね。」
「やったことあるの?」
「ないよ。
興味はあるけど、
私もするなら男2人のがいいけど、
AVとか観てるとしんどそうなんだよね。
ほら女の人が四つん這いになって
両方のお口に突っ込まれてるの。
あれって首が疲れそうじゃん?」
「そーいうの多いよね。」
「うん。だから私も将生とだけでいい。」
「うん、そーだね。」
彼はよくさちこの目を見て話に頷いたり
にっこりしたりする。
運転中に大丈夫なの?と思うほどの長さと頻度で
毎度さちこの方から目を逸らせて
前を向いてしまっていた。
途中で少し雨がぱらついていたが、
台場に着くと雨は止んでいた。
駐車場に車を停めた。
大きな車をするりと切り返し無しで
バックで車庫入れする様はイケメンに箔をつける。
「すごいね。
さすが切り返し無しで1発で駐車するなんて
かっこいいね。」
「こんな広いところ誰だってできるよ。」
(できねえよ。少なくともうちの旦那は。。。笑)
車を降りてからさちこは彼の手を繋いだ。
彼と手を繋いで歩くのは
今回のデートが初めてだった。
さちこは彼と初めて会った時から
手を繋ぎたかったが我慢してきた。
前回初エッチの後、
ホテルの部屋から駐車場まで
手を繋いだかははっきり覚えていなかった。
確か繋いだ気がしたから
今回車では積極的に手を伸ばしたが、
歩くときも良いのだろうかと思いながら
彼の手を掴みにいった。
彼はさちこを少し見下ろして、
恋人繋ぎで握り返した。
さちこはもうそれだけで胸がキュンとして
股間がソワソワしていた。

その上、エレベーターに乗ると
二人きりの空間にドキドキした。
1階から2階の非常に短い時間だったが、
彼がこちらを向いて両手を広げた。
さちこが彼の胸に飛び込もうと近づくと
彼はギュッと抱き寄せた。
さちこはもう素直に嬉しかった。
<2週間ラインしなくても会いたかったよ。>
という彼なりの意思表示だと
さちこはひしひしと噛み締めていた。