3話 予想を超えた立派な竿

その1週間後、彼と待ち合わせの駅に向かった。 

お目当てのポルシェは今乗れないとのことで

ボルボで迎えに来た。 

「明日車で手を繋ごうね。」 

前日に送ってきた可愛いラインも 

50歳が書いていると思うと途端に気持ちが冷めた。 

暑い中はるばる1時間かけて電車に乗って 

会いに行くほどの価値がこの男にはあるのだろうか、 

そんなことが頭によぎりながら電車に乗った。 

久々に会った彼はブサイクではないのだが、 

やっぱりタイプの顔ではなかった。 

ただボルボも快適だし、 

海沿いの景色は最高でドライブは気持ちよかった。 

彼は繋いださちこの手の甲を時折チュッチュしている。 

嬉しそうにこちらを見てニターっと笑って、 

お調子者キャラ全開であった。 

「じゃあ結局ランチはホテルのレストランじゃなくて 

あっち着いてからでいい?」 

「うん。」 

「じゃあ断るね。」 

「そんなギリギリ断っていいの?」 

「いいよ。どうせガラガラなんだし。」 

「なんか逆にガラガラだから

気の毒だなって思っちゃう。」 

「そんなことないよ。」 

彼はスピーカーフォンでホテルのレストランに 

予約のキャンセルの電話をかけた。 

予約時刻30分前のキャンセルというのに 

全く申しわけなさそうではなく 

ぶっきらぼうに話す彼に少し幻滅した。 

その後赤レンガ倉庫のレストランで

ランチを食べることにした。 

駐車場に着いた。 

「ちょっと鞄の中身、 

重いから要らないの車に置いてっていい?」 

「うん。いいよ。置いていきなよ。 

っていうか財布も要らないし、

鞄全部置いていったら。」 

「えー、でも貴重品を車に置いていくのは

まずいでしょ。 これ外車だし。」 

「じゃあ財布だけ俺の鞄に入れてく?」 

「いいよ。鞄持ってく。」 

車を降りると彼が鞄を持ってくれた。 

「いいよ。重いでしょ。俺が持っててあげるから。 

ほら日傘さしな。」 

「うん。ありがとう。」 

さちこは男に鞄を持ってもらうデートは 

久々だったことに気づいた。 

「このピザ美味しそうだね。」 

「それ小麦だよ。小麦ダメなんでしょ?」 

「うん。でもちょっとくらいなら大丈夫。 

パスタとかはだめだけど。 

じゃあ、これやめてサラダにしよう。」 

「私、ステーキ食べたい。」 

「いいよ。じゃあステーキとサラダね。」 

「あ、やっぱこのハンバーグ美味しそうじゃない?

ほら?」 

「ほんとだ。じゃあハンバーグにしよう。」 

「うん。あと私はライス食べる。」 

「いいよ。」 

こういうやり取りは

なぜか飯友のえなり君を思い出させる。 

顔がタイプでないところが似てるからなのであろうか。

遠慮なくこちらの希望を伝えれる

居心地の良さはあった。 

ランチを食べ終わり 

アイスを買って二人で食べながら駐車場に戻った。 

駐車場に戻ると車の中は室温がかなり上昇していた。 

「さっちゃん、あっちの木陰で少し待ってよ。 

先歩いて行ってていいよ。」 

「うん。」 

さちこは大きな木のあるところまで歩いて行った。 

日傘をさしながら木陰で待っていると

彼が後を追ってやってきた。 

白い長シャツにネイビーの短パン、黒のスエードの靴。 

彼は見事に着こなしてカモシカのようにまっすぐ伸びた 

長い脚で歩いてきた。 

(スタイルはホント完璧だな。) 

「クーラーつけてきてくれたの?」 

「うん。暑いからね。」 

「ありがとう。優しいね。ほんとスタイルいいね。」 

「うん。スタイルいいでしょ。」 

しばらく海を眺めて話し終わった後、 

車に乗り込んでホテルに向かった。 

ホテルの駐車場に車を預けてフロントに行った。 

デイユース利用の婚外恋愛カップルが 

他に2組チェックイン待ちしていた。 

このご時世ホテルは 

こういう類の客ばっかりなんだろうな、 

と言いながら部屋に向かった。 

「2重扉の部屋じゃなさそうだよ。」 

「うん。ここは違うだろうね。」 

「いいの?」 

「うん。」 

部屋に入ると小綺麗なコンパクトな部屋だった。 

シングルベッドが2つくっつけて置いてある 

ツインの部屋で、ユニットバスだが 

バスタブは少し大きめだった。 

「シャワーする?」 

「うん。」 

「どっち先浴びる?」 

「一緒は?無理かなあ?狭い?」 

「狭くないよ。一緒に浴びる?」 

「うん。」 

さちこが服を脱ごうとしていると 

彼はさちこの腕をギュッと掴み 

振り返らせるとキスをしてきた。 

その流れでニットの前ボタンを外そうと 

手をかけてきた。 

「あ、これそのまま脱げるから。」 

「そうなの?」 

「うん。」 

さちこは自らガバッと頭から脱いだ。 

ブラジャーとパンティになったさちこを 

彼はニタニタと眺めていた。 

やがて彼はさちこのブラジャーを外し、 

パンティをそっと下にズラした。 

「ほんとだ!ツルツルだ。」 

彼は目を見開いて嬉しそうに言った。 

「そうなの。」 

「可愛いね。」 

「ありがとう。」 

決して可愛いとは思えない自分の隠部だが、 

前日に肛門開発してきた変態男に続き、 

ノーマルな彼にも可愛いと 

言ってもらえて光栄だった。 

彼のものをブリーフの上からなぞってみると 

思いのほか太かった。 

思わず言った。 

「あれ?すごい太くない?」 

ブリーフをズラして覗くとやはり 

長く、太く、硬さも申し分なかった。 

「太いじゃん!謙遜してたの?」 

「そんなことないよ。」 

「じゃあシャワーで洗ってあげるね。」 

ただ彼の陰毛はものすごく広範囲に生えていた。 

「ほんとだ。もじゃもじゃだね。」 

「そうでしょ?」 

「毛は短いけど、範囲が広いよね。」 

「そう?」 

「うん。だってほら、腰骨から腰骨まであるよ。」 

「年取ったらなくなるよ。」 

「そうかなあ。」 

「だってゴルフで風呂入ったら 

70歳くらいの人見たら毛がないもん。」 

「その人に聞いたの?昔ボーボーでしたか?って。」 

「聞いてない。」 

「じゃあ元からないかもしれないじゃん。」 

「そんな人いる?男で毛が無い人見たことあるの?」 

「あるよ。脱毛してる人いたよ。」 

「へええ。」 

「脇毛は少ないんだね。」 

「そうでしょ?」 

「処理してるの?」 

「してない。自然に少ない。 

男の陰毛と体毛の濃さってリンクしてないんだよ。」 

「ふーん。胸毛もないもんね。」 

「うん。」 

「私の統計学では胸毛がない人は乳首が感じやすいの。 

乳首感じやすい?」 

「うん。」 

「やっぱり〜。じゃあ後で攻めてあげるね。」 

体を拭いてベッドに入った。 

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