8話 巨根男あるある<どんな穴でも気持ちいい>男
「何笑ってるの?」
「いや、さっきふとしが言ってたの思い出して。
前から知ってるみたいって。
確かにふとしといると落ち着くよね。
2回目のセックスとは思えない安定感だね。」
「でしょ?さっちゃん面白いし、
もちろん女性として可愛い
っていうのもあるんだけど、
普通に話しててもラインしてても楽しくて
前から友達だった感じする。」

「ふーん。
じゃあエッチしててもそう思わない人もいるの?」
「うん。いるよ。」
「へー。まあご縁があるから出会ったんだろうしね。」
「うん。ご縁があるんだよ。波動が一緒だし。笑」
(やめてくれ。波動が引きずられる。)
「ねえ、今までこれはすごいフィット感って人いた?」
「あんまりフィット感ってわかんないんだよね。
どれも気持ちよくて。」
「そーなんだ。
どんなガバガバでも気持ちいところに当てて
自分だけはいけるってことなんだね。」
「そーかなあ?
あ、でも<死んじゃう>って言われたことある。」
「すごいじゃん!
<死んじゃう>って、AVのセリフみたいだね。
じゃあその人とはふとしからみてはどうだったの?
一番気持ちよかった?」
「そーでもない。他と変わらないよ。」
「そーなん?
じゃあ彼女の感度が良かったって話なんだね。」
「その子さ、
俺が1ヶ月だけ居候させてもらってた友達の紹介で
その間だけ何度かやった子なんだけど、
俺がこっちに帰ってきてから、突然連絡があってさ。」
「うん。」
「血液型何型?って聞かれたの。」
「えー妊娠させたの?」
「わかんない。」
「ホラーだね。怖い怖い。え、子供は見たの?」
「うん。俺に似てた。」
「えー!それ以来何も言ってこなかったの?」
「うん。まあその時彼氏いたみたいだから
その人と結婚して離婚したらしい。
友達が言うにはあれは絶対俺の子だって。」
「へーそれいくつの時の話?」
「22くらい。」
「じゃあもうその子供も成人してるじゃん。」
「そうだね。」
「どうする?突然やってきて、お父さん、
実はお母さんが死んで遺品から日記が出てきて。。。
みたいな話されたら。」
「うわー!考えたことなかったわ。」
「そーなの?もしそうなったら嫁に相談する?
友達とか上司とか。。。誰かに相談する?」
「しないかなあ。」
「じゃあ私には教えてね。書くから。笑」
「ネタにするんかいっ!笑」
「へへへ。笑
そろそろシャワーして帰ろうかな。」
シャワーを浴びていると
彼が下着を脱衣所に持ってきてくれていた。
「あ、持ってきてくれたんだね。
優しいね。ありがとう。
でさー、さっきの話だけど、中出ししたの?」
「してない。」
「げ。やばくない?
我慢汁で妊娠したってことでしょ?
私も妊娠したかも!笑」
服に着替えて先に家を出た。
トコトコ歩いていると彼の軽自動車が追いついてきた。
昨晩の男がベンツで送ってくれた道に出た。
なんなんだろう。
軽自動車を運転する彼と
車で手を繋ぐ気にはならなかった。
気づけばものすごい大きな声でため息をついていた。

「どうしたの?大丈夫?」
「え?あ、ごめん。すごいため息ついてたね。
別に大丈夫だよ。」
そう言った矢先またため息をついていた。
「どうしたの?しんどそうだね。大丈夫?」
「大丈夫。なんかお腹が張ってるからかな。」
確かにお腹が張って満腹感で気持ち悪かった。
「ここでいいよ。ありがとう。」
「大丈夫?」
「うん。」
彼はじっとこちらを見ている。
キスするのか?
別れ際のキス、彼とマジマジと見つめ合っても
こちらから求めようとは思わなかった。
車を降りて家路についた。
単なる疲れが溜まっていただけかもしれないが、
セックスの後の身体の声は
大切に聞き取らなければならない。
と思うさちこであった。